2015年4月22日水曜日

少し遠いにおい


4月22日 船戸与一氏が亡くなった。71歳だったらしい。
先週 4月16日 白川道氏が亡くなったと聞いたばかりだ。69歳だったようだ。
もう新作は読めないのだね。

船戸氏の作品はそれまで読んできたお行儀の良い主人公たちと遠く違っていた。

それまで読んでいた推理小説やミステリー、ハードボイルド風味のものにも、
探偵や刑事や立場はいろいろで魅力的なキャラがいた。
どの主人公も清潔でスマートでにおいのない男たちだった。
十代の少女が読んでも受け入れられる男たち。

船戸氏の主人公はそれまで読んだことのないにおいのある男たちだった。
女性受けはしなかったかもしれない。粗暴で不潔で少女が嫌う性的なにおいが
むせ返るような男たち、だったように感じた。

思春期の私があこがれた大人の男たちが亡くなっていく。
命は終わりを迎えるものだけど、何かを生み出す人間の消滅はさみしい。
71歳と69歳が早いのか十分なのか、私が決めることじゃないけど残念な気持ちだ。

山猫 好きだったなぁ。一気に読んだ。
その空気も汗のにおいも想像できない東京で贅沢に清潔に暮らしていた。
山猫は美しかった。というのはただの思い出だろうか。

2015年4月9日木曜日

狂乱しない桜


4月6日 月曜 午後の気温23度 駅のホームを抜ける風が心地よかった。
日陰のベンチに足を伸ばすとコンクリで冷えた空気が通り過ぎた。
あまりに気持ち良くてうとうとした。

駅へ向かう途中、数百本はあるだろう桜並木の入り口あたりを横切る。
初めて見たときは圧倒され言葉を失った桜並木。あれから30年以上。
ソメイヨシノの並木だけではなく地の山にあった桜もたくさん残されている。



4月9日 木曜 前日は吹雪の朝だった。今日も北風が冷たい一日。
その翌日は桜吹雪の中、ダウンコートで歩く。これは隣の駅へ向かう道。
足元は一面ピンク色になっていた。

駅まで1キロ以上続く桜並木。
こちらはまだ20年くらいだろうか。
座り込んで酒盛りをする人はいない静かな桜。